美容室を内装工事する前に知っておきたい豆知識

美容室の内装工事を成功させるにはテーマの統一、動線を意識した設計が重要です。内装工事費用の約半分が光熱や空調設備であること、デザインと施工は分けて依頼した方が結果的に費用を抑えられるケースもあることを念頭において予算を組むのが大切です。

十分に経験・実績を積み重ねた段階で、そろそろ独立して新たな美容室を開業したいと検討する方は多いことでしょう。しかし美容室を開業するにあたって、内装に関してどんなことに気をつければ良いか分からないと頭を悩ませている方も少なくありません。ここでは新規で美容室を立ち上げる方が覚えておきたい、設計・内装工事に関する豆知識を紹介していきます。

設計するにあたってテーマの考案・統一が大事

美容室

美容室をオープンするにあたって、テーマの統一は非常に重要です。新装開店であっても改築であっても同様であり、外装と内装のデザインは統一すべきです。店舗の立地環境や、思い描いているお店の雰囲気にマッチしたイメージ・テーマを具体的に決めていくことが大切になります。おしゃれなお店が立ち並ぶ場所であればその雰囲気に沿ったデザイン、昔ながらのお店が多い場所であればおしゃれでありつつも親しみやすい雰囲気にした方が、集客が期待できるでしょう。

ターゲットを女性にして、なおかつオーナーや従業員も女性を中心としているのであればそれに合ったテーマを練っていきます。ガーリーなテイストから北欧・西海岸など人気のスタイルといったように、ひとくちにフェミニンな空間と言っても目指す方向性によって趣向もさまざまです。また男性の場合も同じようにスタイリッシュであったり、クールな印象に仕上げるといった風に多種多様です。近年ではWebサイトだけでなくSNSを用いた集客も行われるため、美容室のテーマの統一感なども大いにこだわっていきましょう。

美容室において動線も大事な要素の1つ

美容室に限らず、接客を行ってなおかつ複数の従業員で業務を遂行するのであれば動線は重要になってきます。スタッフ同士の衝突・混雑を避けること、業務がスムーズに進むことを意識して動線を設計すべきです。もちろんここにお客様が加わるので洗髪・シャンプーの際やカット、さらにはカラーリングやパーマなど作業の移行に伴い人がどんどん移動していくこととなります。それぞれの作業を実施する場所の配置、動き・流れをシミュレートして入念に設計するようにしましょう。

よく言われているのがカットする場所から、シャンプーを行う場所までの動線は一直線であることが望ましいという言説です。1つに動線を絞ることによって、スタッフと顧客の両方へのメリットがあるからです。その理由としては直線にすれば髪の毛の掃除が容易になること、移動する顧客の負担が最低限にまで減らせることが挙げられます。敷地面積や水道など設備の配置から、なかなかセオリー通りに行かないケースもありますが出来る限りでキープすると良い結果へと繋がりやすいでしょう。

内装工事にかかる大まかな費用の目安

美容室を新規、すなわち新装開店する場合において1坪あたり30?40万円が内装工事の費用の目安とされています。この中には機器に関しては含まれておらず、別途発生することを念頭に置いてください。20坪の店舗を作るのであれば、およそ600万円は見ておく必要があるという訳です。このうちの半額程度は、電気やガス・水道および空調などの設備工事が含まれています。なお物件が小さいからと言って費用が減るとは限らず、たとえば設備工事は面積が狭くても必要となるためその分を考慮すれば坪単価は高くなりがちです。

一方で固定となる設備工事費が変わらないため、大きい店舗の場合は坪単価が低くなります。内装の工事費用の他にシャンプー台と椅子、シャンプーボウルやカット用の椅子などの費用も別途必要です。加えてパーマ用の器具やエステ機器など、美容関連の機械も店舗によっては必須となってきます。業種・業態に加えて、チョイスする機器のグレードにより価格が大きく変動するため相場をあらかじめ調べておいて予算に組み込んでおくことが大事です。

内装工事の中でも特に費用がかかる部分

美容室

美容室の内装工事の中でも、特に費用がかかるのは電気やガス・水道などの光熱関連、空調・給排気などの設備に関する工事です。内装工事のおよそ半分くらいを占めるほど金額が大きく、予算を組む際にはしっかりと金額を調べておくことが大事になります。なお美容室ではコンセントの数が必然的に多くなる上に、機器はいずれも電気を必要としているため電気容量が足りないというケースも少なくありません。

容量が不足している店舗・施設の場合、幹線工事が必須となることも覚えておいてください。当然ながら費用もかさばるという点も、注意が必要です。設備容量に関しては、不動産屋や購入・賃貸予定の物件の大家さんに聞いて把握しておきましょう。内装工事を行う担当者は、建築図面を見ることで判断が可能となります。そのため不動産屋に依頼して、正式な図面を手に入れておくことも成功のためのポイントです。居抜き物件を利用するのであれば、前の設備が残っていてそれを流用できることもあります。業種が同じサロンや美容室であれば、大抵の設備がそのまま使えるため費用が削減できます。

デザインと工事を分けて依頼するのもポイント

デザインにこだわる場合は、設計と内装工事の施工を同じ業者ではなくそれぞれ分けて依頼する方が良いケースもあります。設計から内装工事までトータルで実施している企業・工務店に依頼すると、理想通りのデザインにするのが難しかったり費用が多くかかったりする可能性があるからです。見積もりを出してもらったり、デザインについて相談した際にそういった傾向が判明した場合はそれぞれの工程を別の業者に頼みましょう。内装デザインが専門である企業に設計を任せて、施工については工務店に依頼すれば理想がかなう上に費用も抑えられることが期待できます。

特に明確なイメージ、ビジョンを持って設計してもらいたい場合はそういったデザインに強い事務所や業者に発注する方が良いです。また費用を抑える策の1つに、モニターを募集している工務店に頼むという方法が挙げられます。内装施工会社や工務店は定期的にモニターを募集しているケースが多く、施工実績としてホームページやチラシに掲載する代わりに値引きしてくれるというサービスです。運良くモニターを募集している企業に当たれば施工費用を抑えられるため、オープン計画を練り始めた頃からチェックしておくようにしましょう。

内装の工事費用を抑えるためのコツ

内装工事の費用を節約する方法の1つとして挙げられるのが、工事内容を限定する方法です。工事内容を精査して、自身で出来る作業がないか見極めます。シャンプー台の設置や配管工事については、素人では難しい上に内装工事の後にしか実施できません。しかしカット台を設置したり、電飾部品を取り付けたりといった作業はセルフで出来る場合が多いです。また新品で揃えなくても、美容室で使われる機器や製品は中古品が豊富に流通しているためそちらを流用することで、初期費用を抑えられます。

配線工事やコンセントの設置は電気工事士などの資格が必要で、専門的な知識・技術を要するような作業はできないものの、一般人でも十分に対応できる部分に関しては自分たちでまかないましょう。ただし内装工事の作業内容を制限すると、責任の所在があやふやになりがちです。開業した後で万が一瑕疵があった場合、責任を取るのは誰なのかをあらかじめ明確にしておくことも重要です。きちんと書面でやり取りしておけば、もしもの時も安心できます。

まとめ

美容室

美容室を新たに開業するにあたって、店舗のテーマ決めから稼働時を意識した動線などを組み込んだ店舗デザイン・設計が重要となります。小さい店舗よりも大きい方が坪あたりの単価が下がること、光熱関係や空調関連の工事が費用の半数を占めることなどもしっかりと覚えておくことが大切です。デザインと施工を別々に依頼したり、工事内容を限定したりすることで費用を抑えられる可能性がある点も要チェックです。